●摂食障害の原因
●摂食障害になる心理学的な背景として以下のようなケースがあります。
*肥満への恐怖(ダイエットの失敗)
*ダイエット・ハイ(痩せる事で快感を得る)
*人間関係のストレス(家庭・学校・職場・恋愛・夫婦での人間関係の不和)
*対人関係の恐怖からの代償行動
*様々なストレスによるフラストレーション(欲求不満)
*白か黒か、善か悪か、という極端な発想習慣
*過剰な被害意識、極度の劣等感や思い込み
*「女性性の拒否」による代償行動
*幼少期における親との不良な関係(安全・安心・愛情の欲求不満)
●摂食障害への対処
★身体の状況が危険な場合には,入院治療が必要です。
*摂食障害の治療には,大きく分けると身体的治療と心理的治療があります。主となるのは
心理的治療ですが、身体状況に危険がある場合は、ある程度身体の方を回復させることが
先決と思われます。医療機関への入院治療が先ず必要な場合もあります。
心理的治療には様々な種類がありますが、心の回復をめざすものですから、即効的なもので
はなく、周囲の理解やサポートを得て、安心して治療を継続すること、辛抱強く確実な改善を
めざすことが大切です。
*本人が自分の症状や状態を正しく認識すること、摂食障害についての正しい知識を得ること
は治療に向けての第一歩となります。家族などの支えを得ながら、一緒に正しい知識を学ぶ
ことで安心感のもとに治療へ向かう環境が生まれてきます。正しい知識を身につけることで、
その後の治療に非常に役に立ってきます。
*摂食障害のには多くの場合、心理的問題が潜んでいますので、そこには何らかの心理療法・
精神療法が必要になります。本人が自分の病気を理解し、その改善に向かっていくために
は、周囲の人(家族)の理解と協力、精神科医、心理療法士等の心理的なサポートを受ける
必要があります。
*心理療法・精神療法とは、「カウンセリング」「催眠療法」などで本人が抱える心理的な問題を
整理し、原因となっている要因を明確にして、それに対処する治療方法や手段を本人と一緒
に探ってゆく療法です。また症状の解消だけではなく、「認知行動療法」などを用いて、根本
的な心の問題を克服出来るよう、新しい価値観や、新しい自分を創っていくのが心理療法・
精神療法の目的です。
*心理的な問題が家庭環境と関わりがある場合など、家族も一緒にカウンセリング等を受けな
がら、心理療法に参加協力することで、摂食障害の原因となっていると考えられる家庭状況
を本人と家族が一緒に理解する事が可能となります。本人の心理的な問題に対する家族の
理解も増し、サポートや協力が一層期待できます。
*過食症にはグループ療法(集団精神療法)が有効です。同じような症状・悩みを他の人も持
っているということを知り、自分だけではないという、孤独感から救われた気持ちになります。
また他のメンバーの違った考えや気持ち、悩みを聴くこと、それに自分の悩みを打ち明けるこ
とで、メンバーとの信頼感やメンバー同士が相互に支え合う良い環境が生まれてきます。
一緒に克服して行けるという心強い安心感も生まれてきます。
地域保険所の相談室や医療機関・心理療法施設等でグループ療法について問い合わせす
る事が出来ます。
★摂食障害の改善は、患者さん本人の意思や努力だけでは成し遂げにくいものがあります。
本人自身が自分の異常な行動や症状を治したいと心では思い、願いながらも、依存的に、
また習慣的になって抜け出せなくなった場合が多くみられるからです。
患者さん本人が、症状の改善や障害の克服をめざして治療を開始し、それを継続するため
には、家族や周囲の人の理解と協力、励まし、忍耐が重要になります。
治療過程では一進一退の状況も珍しくありません、本人が根気強く克服を成し遂げるために
は、周囲の持続的なサポートを確信できる安心感が重要な支えになります。