■パニック障害
●パニック障害とは、予期せぬ強烈なパニック発作に襲われ、その発作によるショックや発作の再発の不安に常時悩まされる障害です。極端な場合はその不安や恐怖が原因となって、外出が困難になったり、日常生活にまで支障をきす場合があります。また、不安感・恐怖感・絶望感などから「うつ病」などの症状を併発してしまうことがあります。
●パニック発作とは、動悸、胸痛、呼吸困難、めまいなど、複数の身体症状(強烈な恐怖感や不快感)に突然襲われるものです。発作の原因は一時的な脳機能障害とされていますが、生命に危険があるものではありません。また、発作自体は数分から30分程度で治まるといわれています。これらの症状は、特別な処置をしなくても、しばらく安静に過ごしていれば回復するものです。しかしながら、その強烈なショックのために気を失ったり、救急搬送されるケースも少なくありません。また強い恐怖のために記憶に残りトラウマとなるケースが多くみられます。
●パニック発作の症状
*動悸・心拍数が増加する
*呼吸が苦しくなる
*発汗
*胸が急に苦しくなる
*吐き気、腹部の違和感がある
*身体のふるえや手足のしびれを感じる
*身体の冷え、またはほてりを感じる
*めまいやふらつきを感じる
*現実でない感覚がする
*自分が自分でない感覚がする
*コントロールを失うことや、気が狂うことに対する恐怖を感じる
*死ぬことに対する恐怖を感じる
★このような症状が複数同時に現れ、短時間(数分程度)でピークに達します。
★突然の発作であることや、強烈な恐怖感から本人は大きなショックを受けます。
●パニック障害の予期不安と広場恐怖
*パニック発作により、非常に強烈な恐怖を感じるため、初めて発作が発生した場面を極端に
恐れたり、発作が起きた状況を恐れるようになります。そして、また恐ろしい発作が起きるの
ではないかと、常に不安感や恐怖感に悩まされることを「予期不安」といいます。
*パニック障害では必ず予期不安があります。この「予期不安」のために日常的にリラックスし
た気分になれず、行動は知らぬ間に防衛的になり、行動範囲が狭められていきます。パニッ
ク障害がよ り現実的に行動に影響を及ぼす状態が「広場恐怖」です。
●予期不安での具体的例
*発作の再発するのではないかと恐れる
*発作で気を失うのではないかと恐れる
*発作で気が狂うのではないかと恐れる
*発作で病気になるのではないかと恐れる
*発作で死ぬのではないかと恐れる
*発作を起こして人前で倒れたり吐いたり失禁したりすることを恐れる
*発作を起こして人前で恥をかくのではないかと心配する
*発作を起こして人に迷惑をかけるのではないかと心配する
●広場恐怖での具体的例
*恐怖の対象が、本人が経験した発作の状況から、様々な状況へ広がる特徴があります
*発作が起きた場合にその場から逃れられないと思われる状況を避ける
*一定時間、特定の場所に拘束されてしまう環境や状況を避ける
(電車や飛行機、歯科、美容室、道路の渋滞、、レジを待つ時間、街中の人込み等)
*不安・恐怖が強まると、家にこもりがちになったり、外出ができなくなる
●パニック障害の改善
★医療機関での治療
*発作の抑制を目的として抗うつ薬が用いられ、不安感の軽減を目的に抗不安薬が用いられ
ています。対症療法として用いられる薬物治療でのこれらの薬物は有効性があり、特に適切
な患者教育と指導と併用した場合の有効性は高いとされています。その反面で、薬の禁断
症状や、薬の依存性が問題とされることも否めません。また、早期の治療ほど心理的な症状
が軽い分、短期間での効果が期待できます。しかし心理的な症状が長期化すれば治療も長
期化する傾向にあります。
★心理療法によるパニック障害の改善
*パニック障害に関する心理療法は、パニック発作の再発を恐れる「予期不安」を取り除くこと、
不安・恐怖から派生した「広場恐怖」や「二次的うつ症状」の改善を目的としています。
*「心理カウンセリング」「催眠療法」による「予期不安」の軽減と解消や、心身のバランスを
コントロールしてしていく「認知行動療法」、本人がリラックスすることで自律神経の働きを正
常に戻していく「自律訓練法」等が有効とされています。
*特に心理的な要因から派生している「広場恐怖」や「二次的うつ症状」には心理療法が効果
を発揮します。
★パニック発作などの症状を薬で抑えながら、パニック障害で問題となる心理的な問題症状と
なる持続的な不安感・恐怖感・うつ症状の改善には心理療法の併用を特におすすめします。
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